ヤンキースの選手の実名がバンバン出てくる暴露本的な内容だとの前評判です。確かにすべてが実名で書かれていますので、リアリティにあふれています。しかし、暴露本という低俗な評価を受ける本ではありません。この本は「リーダーシップ論」と「組織論」を実話で語っている、内容の濃い素晴らしい本です。
ワガママな暴君でありながら、愛情とお金をチームにそそぎ続けるボス・ジョージ・スタインブレナー。その下で11年間現場の指揮を執り、誠実で冷静な「報連相」を心掛け、オーナーや選手の信頼を勝ち得るジョー・トーリ。グラウンド上でも、ベンチでも、ロッカールームでも、みんなから愛され頼りにされるデービッド・コーン。21歳のルーキーにして、チーム内のベテラン達からチームリーダーと認められたデレク・ジーター。
トーリ就任からコーン退団までの1996年〜2000年。個性あふれるリーダー達が織りなすヤンキースは、最高のチームワークでワールドシリーズを勝ち続けた。しかし、時代は変わっていく。チームよりも自分の成績が大事な選手が登場し始める。その極めつけが「分かっていない男」A・ロッド。組織の中に「分かっていない男」が一人入ると、しかもその男に実力があるほどに組織は崩壊していく。いくら金をかけても、ワールドシリーズで勝てなくなるヤンキース。そして、ボス・スタインブレナーも老いて一線を離れ、トーリの理解者がフロントにはいなくなった。この本は何度も読み直したくなる物語がある本です。