正直言って思い切り期待外れだった。
アメリカ外交史やその思想に対する思慮の浅さが目立った。例えばネオコンの分析(誤っている、乃至控えめに言って国際政治学の主流の考え方から大きくかけ離れている)や韓国の反米感情への言及(例として出される事件が古すぎて現状に相関性があるとは思えない)等、本当にきちんと調べて書いているのか疑いたくなるような内容が続き、途中で読むのもバカバカしくなった。
筆者は自分が留学していたという1960年代にはなかった(悪しき)変化が「冷戦終結以降」起こり続けた結果9.11や今の荒んだアメリカがある、としているが、1983年のグレナダ侵攻や89年のハイチ侵攻を例に挙げる等論理に混乱が見られる。正直に言ってどのような理由でどの時代に境界線を引いてアメリカを見ているのかよくわからない。
文中、現在アメリカが国土安全保障のコンセプトによって海外にも攻撃を辞さない姿勢を取っているように書いているが、実際は国土安全保障省はアメリカ国内の施設の保護・防衛等を目的としたもので、海外派遣とは何の関係もない。
また、「つまり、今やアメリカが外国に戦争を仕掛ける時は、すべて内政がらみなのだ。」と筆者は言うが、今まで内政がらみではない戦争があったのだろうか。逆に「外交だけ」の戦争とは一体どのようなものなのだろうか。内政と外交が複雑に絡み合った結果戦争を含めた外交政策が組み立てられるというのは国際政治の常識ではないだろうか。
読者のアメリカ観をよりバイアスのかかったもの、最悪の場合誤ったものにするような記述が見られ、詳細かつ細心の調査をした後に出版するべきであったと思う。国際政治の観点からするととても評価に耐えうるようなレベルではない。