映画における大河ドラマとして最良の一編のひとつ。
映画を観る歓び(感動や驚き)を存分に味わえる。3時間近くの長編だがあっという間に過ぎ去る。
中国の近代史をたどりながら、主演の三人の愛憎に強烈に焦点を合わせていく。
彼らの激情と、それぞれの人生が歴史の荒波に押し潰されていく姿は衝撃的だ。
コン・リーは魅力的だった。彼女の強い心と文革(文化大革命)時の荒波で夫に裏切られたとの思いは胸に迫る。
その夫はたしかに妻を裏切るようなことを口走る。だが、文革がどれほど苛烈だったのか、平和な日本から計り知れるものではないだろう。彼を責める気にはなれないし、彼は妻を愛していたと思う。そして彼は眼前で大事な二人に死なれてしまうのだ…。
最も印象的だったレスリー・チャンの役は確かに痛々しい。それでいて彼の人生は愛の上(舞台の上)で果てるのだ。これはある種のハッピーエンドかもしれない。
また、少年時代が比較的長く展開されるが、ここもすばらしい。強烈なスパルタシーンが続くのだか不思議なみずみずしさがある(ワンスアポンアタイムインアメリカの少年時代編の素晴らしさを彷彿とさせる)その部分だけで一つの映画が観られるようだ。
この映画は…
作家の表現力、プロダクションの制作力(資金を含むプロジェクト全体)、各スタッフの優秀な仕事(赤を印象的に配置した映像はラストエンペラーの影響を感じるが見事なものだった)、そしてもちろん魅力的な役者、が高次元でバランスしていると感じる。
カンヌでパルムドールをとりつつ商業的にも大ヒットしたことは当然と思える。
こんな見事に芸術性(作家性)と商業性(大衆性)を両立できている作品にはめった出会えるものではない。
素晴らしい映画を観る事ができました。