前巻で、生真面目な政は「イチどのに、その日その日を楽しむ生き方を教わった」ように、
長屋の気風のいい女房たちにも、かわいがられて
なんだかんだと、江戸の生活にも慣れてきたようだ。
また、政は、町方の八木に、道場の職を紹介される。
八木は政を手中に置き、そのことを政も、自分からイチを探る策かもしれぬとわかりつつ
実家の借金返済のため、また、流されやすき性格だからか、道場で子供らに教える。
江戸にもなれて人にもなぜか好かれる政、
生真面目ではあるが、どこか底がからっと明るいからではないだろうか。
一方、遊び人だったはずのイチは生気の無い顔つきになっていく・・・
イチのほうが本当はその日暮が出来ない性格で、重たい過去をにおわす。
八木がイチを気にしている訳もだいぶ見えてきた。
また、政の藩の話も大分加わってくる。
政の実家では、政の弟が苦しいお家事情の家督を継いでいるが、
最近、政の送ってくるまとまった額の金や、政が高価なカンザシを妹に買ってやったことなどから、居酒屋の用心棒ごときでこれほど稼げるのか…と、
何を考えているか分からない顔で、カンザシを見つめる。
これから出る6巻にも、ますます話の広がりがもてそうだ。