表紙の少女の透明感ある色気・美しさに惹かれ、購入致しました。
コミカライズ版『伯爵と妖精』の作者が放つ読み切り集。
『時をかけるまえに』
舞台は少し未来の2025年日本。
見た目は現代とほとんど同じですが、
かなり未来の技術を予想したニュースがあったり、
タイムマシンを使って訪れた転入生をあっさり受け入れたりと、
未来なりの高校生のリアルがそこにはありました。
ただ根底に流れるのはいたって純粋な恋愛物語。
男女がお互いに惹かれ合ったり、想い合ったり、
それは現代となんら変わらない。
ですが、タイムマシン−時を超える技術に、
2人は翻弄されていく。
少し切ない‥でもとても愛おしい話。
『おとうとくん』
基本的にクールな主人公の女の子と、
少し変わった“おとうとくん”の出会い。
主人公に好意を持つ優等生の男の子。
最初は主人公も優等生に好感を抱くが、
何となく彼の弟の存在が気になる。
弟は優等生の兄とは違い、
基本的に暗いオーラを放つ存在。
ただその心の純粋さ、悲痛な叫びにも似た想いに、
主人公は“おとうとくん”のことが気になってゆく。
きっと主人公にも似た想いがあり、
“おとうとくん”との歩み寄りに、
つい心が締め付けられるような愛おしさを感じました。
『失恋ファミリーレストラン』
レストランに集まったのは、
同じ男の子と付き合っている5人のカノジョ。
主人公の女の子を含め、
男の子を忘れ、未来へ向かう決意をする。
最後のどんでん返しにはちょっとした恐ろしさを感じますが、
決して嫌悪感を感じないのが不思議。
『Us,you and me』
漫画家を目指す少女と作家を目指す少女の、
ただの友情よりも深い“繋がり”を感じさせる物語。
ひょんな一言から一緒に漫画を描き始めた2人。
でもそれは彼女たちの本当の夢ではなくて‥。
夢を貫く純粋な少女達の美しさ、気高さがそこにはあります。
ポンッと背中を押してくれるような、
優しい煌めきを感じさせる作品です。
『さよなら私たち』
とあるキッカケで死んでしまった2人の少女。
2人には生前の記憶が無く、ただその手はしっかりと握られて離れない。
三途の川を渡るには手を離す必要がある。
2人は下界に下り、生前の記憶の欠片を集め始める。
生前の記憶に彼女達は衝撃を受け、時には傷付きます。
そんな時隣にいたのは‥−。
儚く脆い、少女達の痛切で美しい物語。
そこにあるのは決して珍しくない、
少女達の心。
全体を通して透明感と切なさが漂う、
独特の雰囲気が流れています。
普通に少女漫画が読みたい方にはオススメしませんが、
読後の、透き通るようなひんやりとした切なさ‥悪くないと思います。
カミソリのように危うくて、ガラスのように透明な、
香魚子さんの世界観に触れてみませんか?