御存知薫くんシリーズの第3弾が新潮文庫から刊行されました。初出時は本書のほうが白鳥の歌なんか聞こえないより先に出版されたように思います。私も40数年振りに再読しました。今回は、いつもの喧嘩相手の由美ちゃんが物語の冒頭で旅行に出てしまいます。その代わりにノンちゃんといとこのアコチャンが存分に活躍してくれます。
薫くんは次兄の友人の山中さんの結婚披露宴に招待されます(色々経緯はあるんですが)。山中さんは、シュバイツアーを尊敬し離島の診療に一生を捧げるつもりで医者になったんですが、青医連の活動家に変貌し、しかもその後挫折転向し、今度は講座の主任教授の媒酌で大病院の娘と結婚するという事になったんです。薫くんは、薫くんの次兄、そして、その友人、山崎さん、吉田さん、中村さん等と一緒に式に出席しますが、披露宴は予想通り白けた盛り上がりの無いものになってしまいました。そんな中でノンちゃんアコちゃんは陽気に写真を撮り続けますが、実は内情を総て知っていたんですね(女は強い!!)。宴の後、薫くんは女の子2人と、次兄は友人と2次会に繰り出し・・・
今回のテーマは中々重い!!これは私のようなノンポリの学生だった者でもかなり深刻な問題で、学生運動、そして、挫折、転向を描いています。私は東大入試中止時の受験生ですが、先輩は皆スクラムを組んでデモをしていました。友人の中には御堂筋で機動隊と投石騒動を起こした者もいます。学生運動で放校されたものも者もいますし、希望の講座に残れなかった者もいます。作者の庄司さんはもう少し過去の多分安保の経験者でしょう。その庄司さんの目を通して、1969〜1970年の学生運動、そして、挫折が描かれています。中村さんの「ぼくはいま、ぼくの大好きな怪傑黒頭巾と別れるところなんですよ。」の言葉のなんと重いことよ!!
もちろん薫くんは、これからの人なんですが・・・??
蛇足ですが言葉の解説を少し、怪傑黒頭巾(高垣眸原作、大友柳太郎主演の映画で子供の時よく見ました)、ミンセー〈民青、共産党系)、全共闘、サンパ(三派)、シュプレヒコール(デモ集会で大勢の者がスローガンを一斉にがなりたてる)、サンバ、パチャンガ(ラテンのリズム)、どうすりゃいいのさー(青江三奈の長崎ブルースの1節)、ノンちゃん雲にのる(1955年の映画、学校から見に行きました)、どうして皆恋しているんでしょう(黛ジュンの雲にのりたいの1節)、少年王者(山川惣冶の絵物語)・・・