主人公は女子中学生である。そしてサッカーが上手い。
とりたてて不自然でもない。実際日本女子サッカーは世界でもトップレベルなのだから。
だが、彼女の環境は最悪で、女子サッカーを受け入れる土壌が全く無い。
かくして、どうにかして男子サッカーに混ざろうと奮闘が始まるのだが…
努力を重ねる程に、痛々しさが増して行く。
指導者も力量は認めている。だが、規則以上に絶対的な壁が主人公を阻む。
フィジカル。体格差。
小学校まではむしろ女子が勝っていた体格が、中学から圧倒的に男子が強くなっていく。
そして主人公は、圧倒的な技術を持ちながら、圧倒的な体格差に阻まれてサッカーのフィールドにすら立てないのだ。
この状況、どこかで見たことはないだろうか。
近年、日本サッカーの現実を直視したサッカー漫画が増加傾向にある。
言わずと知れた「ジャイアントキリング」
満を持して重い腰を上げた重鎮の手による「コラソン」
徹底的に日本サッカーの体制を叩く気満々の「フットボールネーション」
私は、本作「さよならフットボール」もこの列に加えるべき作品と思っている。
方向性は若干異なるにせよ、フットボールというスポーツの現実を捉えた一つの形には違いないし、
その延長線上には、間違いなく日本サッカーの立ち向かうべき現実が横たわっているからだ。
微妙と言われる日本男子サッカーは小学生までなら世界大会でも強豪だし、
世界では強い日本女子サッカーも高校男子サッカーに大敗する。
横たわるのは、体格差という現実。
その現実に、立ち向かう。日本人にとって、サッカーとはそういうスポーツなのだ。
そして、我々日本人が忘れてはならないひたむきさと執念を、本作の主人公は持っている。
さて、これから海外に挑む日本人選手達のどれだけが、彼女と同じ物を持っているのだろうか。