アメリカの女流児童絵本作家ドーティさんが「さよなら」と「こんにちは」のあいさつについて書かれた心に残る秀作絵本です。作者の洒落たアイディアなのでしょう、この絵本の最初の見開きの2頁は緑色で塗られ「goodbye」の文字が全面に書き連ねられておりまして、逆に最後の見開きの2頁は青色で塗られ「hello」の文字で埋め尽くされています。名前は最後まで書かれていませんが、主人公の少年「ぼく」が日々の生活で経験したさまざまなあいさつが描かれます。お隣さんの女の子の友だちアナベルや、こちらから遊びに行くルーおばさんとエドおじさん、時々会いに来てくれるおばあちゃん、友だちと身振りであいさつ、いとこのジャジーとはクールに「あばよ」、犬同士のあいさつ、まだ赤ん坊でわけのわからない弟etc。ここまでは人と人とのコミュニケーションを円滑にする道具の丸で潤滑油のような「あいさつ」の大切さ素晴らしさを明るい気持ちで実感させてくれます。でも次に作者はカバーに描かれた男の子がすっかり心をさらけ出して思いっ切り泣いている姿になる様な悲しく辛すぎる突然の別れの試練を与えています。また次に会えるのがわかっている「さよなら」は元気に交わせても、もう二度と会えない本当の意味での「さよなら」はとてもそうは行かなくて、まだ若い少年にはあまりにも残酷に思える事でしょうね。唯々ひたすら我慢して悲しい気持ちをやり過ごすしかない人生の悲しい出来事の後に、作者は最後の頁で少年の心にやがて明るさが戻って来るだろうと予感させる劇的な場面で締め括っています。少年にはきっとこの先も人生で誰もが経験する別れの時が幾度も訪れる事でしょうが、要は後で悔いを残さない様にその時々でしっかりと元気良くあいさつをして精一杯人と心を通わせて時を過ごす事が一番大切なのだと思います。悲しい時もあるけれど、やっぱりあいさつは大切で素晴らしいと教えてくれる絵本を大人のあなたにもぜひお奨め致します。