実話で、それも昭和36年となると、私などまさにリアルタイム。映画館など時代の雰囲気がとても良く出ていた。当時は野良犬もまだけっこういた時代で、学校で飼われるなんてこともあり得たでしょう。動物映画であると同時に純愛映画でもある。2つの要素がうまくミックスされており、自然に感情移入でき、気持ち良く見れた。動物のとりかたもかなりうまい。日本犬っていいですね。控えめで、優しくて、みてくれはあまりいいとはいえませんが、どこか日本人にも通じるところを感じます。学校に住みつくようになってからの生徒達や先生、用務員との触れ合いがさりげなく描かれており、それがまたいい。そして、仲良しの二人と雪子の関係。当時は女生徒と手をつなぐだけも胸がドキドキする、そんな時代でした。振られたと思った方がバイクで暴走したあげくの事故死。残された二人の関係も疎遠になるが、10年後、獣医となった妻夫木が郷里に帰るとクロが病気になっていた。12歳というと寿命ともいえるが、クロの病気と死が長い間遠ざかっていた二人を結びつけてくれる。先生と生徒の関係、生徒同士の関係、そして、ささやかな男女交際、みなリアリティがあった。これで幸せになるだろうと予感させる二人のラストシーンは物静かで日本人らしい恋の瞬間という感じがして妙に懐かしさを覚えた。ところで私も動物好きなのですが、長年飼っている犬や猫の死はとても厳粛で無条件に悲しいのはなぜなんでしょう。