もう、愛が深い。
作者のあとがきにあるように、恋愛にはいろんな形があって,壊れるものの方が多い、
恋愛に痛みがなかったらこれほどたくさんの恋愛小説は氾濫しなかっただろう。
日々自分が生きて行く上で、苦しい恋愛をしていて、まるで毎日が山の頂を歩くような日々だったとしたら、この本を読むのは命がけです。木原作品はおしなべてみなその傾向があるのですが。
主人公達の台詞一つ一つがリアルで、普段閉じている心の奥底をぐっと掴まれるようになります。
自分の子さえ見えなくなるような激しい愛情を持つ。ある意味不幸ですが、奇跡でもあります。お互いの心と肉体にのめり込んでゆく様は非常に官能的に描かれています。
愛に殉じる男達に嫉妬を覚える反面、第3章である物語では、その男の愛を得られず消え入りそうになっている子供の愛の形が描かれ、ほらやっぱり、と言いたくなる心痛む展開。
そこに、狂おしいまでに愛と肉体の温もりを欲する子供と、戸惑いながらも子供を抱き続ける男がいる。やるせない作品ですがこの本の締めくくりにふさわしい短編だと思います。
「空を見上げて,両手を広げて」というタイトルに涙がこぼれます。