中身は相変わらず容赦仮借がない。
日本人の大多数を占める勤め人にとっては、
耳が痛いを通り越して、
できれば気が付きたくもなかった現実を
これでもかこれでもかとつきつけてくる。
読後の感想は、読者にすらおもねらない氏への憧憬と反感だ。
会社員たる私も、
丸山氏の文章に接する度に、
易々と自らの人生を組織に委ねた己の不甲斐なさを呪い、
選択したつもりがまんまと騙されていた愚かさを罵り、
しまいには、真実をずばずば言い募る丸山氏に反感を感じる始末だ。
組織で飯を食う人間にとっては、たまらなく不快な本だ。
妻子のために歯を食いしばって働く人間にとっては、酷薄な本だ。
人生の転機を模索するには、年を取り過ぎた人間にとって危険な本だ。
そういう本であることを了解した上で、
なお、一理以上の真実を見てみたいと言う人には、
何か得るところはあるかもしれない。
知らずに読めば、反感だけが募るだろう。
現実をしっかり見据えた上で、
今ある生を少しでも輝かしめたいと
足掻く人間にとっては、厳しくもありがたい本だ。
ただ、氏の若いころからのエッセイを読んでいる者にとっては、一抹の寂しさはある。
「されど孤にあらず」や「夜、でっかい犬が笑う」の頃は、
少なくとも読者との共闘感を強く感じさせられたものだ。
今はお歳を召されたこともあろうが、そういった共闘感はあまりない。
随分と高みに行かれたのか、もうとっくに読者に愛想を尽かされたのか…。
惜しみない自画自賛ぶりは、あまりにも自己完結し過ぎていて、
あの頃の挑発するような、こちらの奮起を期待するような
そんな硬派な優しさも感じられないのである。