デビュー作からほとんど読んでいます。
だけどやはり回を追うごとに辛い。
多くの方の指摘どおり、致命的な点は恋愛に至る過程がいつもすっとばされていること。ねちねちと書けばいいものではない。でも納得させる描写は必要です。男同士であるのだから、単に分かり合えるとか大切という気持ちから恋愛(セックス含)に向かうところは、絶対に読み手にわからせなければなりません。ていうかそれがBLの醍醐味だと思うのですが、そこがいつも、あの評価の高かったデビュー作ですら曖昧でした。
あとは非常に雑学をお持ちの方で、薀蓄をよく引用する。それも印象的、効果的に使うというテクニックにおいては卓越していらっしゃると思うのですが、すこし度が過ぎる。こういったやり方は純文学によくありますが、名作や文豪と呼ばれるひとのそれが鼻につかないのは、個性的な見解があるから。凡人にはおよばない想像力でふくらませたり、お、と目から鱗が落ちるような解釈をやはりするからです。そのあたりがどうにも弱い。ただエピソードを無理から心理描写、主に恋愛に繋げただけという感じがします。
それでも、センスはある方なのだと思います。だからなんとなく最後までページを繰ってしまう。だけどそうやってたどりついたラストにも、いつもググッと最終的にせまるものがない。結局どうしたかったの? なにが言いたかったの? 登場人物も、作者も。ドロドロとか葛藤を求めているのではないです。盛り上がって大団円でも。だけど答えがない。答えを出さないとう答え方ですらない。全てを唐突なラブにまかせて適当に終息していくので、だから結果、持ち味のあたたかみ、透明感、そういったものが全て台無しになる。うそ臭くなる。そこまでのすべてが作者や登場人物の見解ではないような、自分たちの言葉ではないようなだまされたみたいな気がしてしまう。
キャリアも違いますので並べるのはどうかと思いますが、対極にあるのが木原音瀬さんのような方でしょう。ものすごいパワーで、これやばくない? おかしくない? を、ラブで納得させる人ですから。
どちらがいい、というわけではないのです。でも本を読むからにはたとえBLであってもなにかを心に得たいもの。それは立派なメッセージじゃなくていいのですが、あまりにもかゆいところに手の届かない状態が続く。とりあえずそろそろ作家買いはここまでかな、と思っています。