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馬鹿正直で少女のような幼さのサヤと
生まれてすぐのユウスケを置いて交通事故で死んでしまった夫。
連作短編集となっていて一話ごとにサヤはちょっとした事件に
巻き込まれる。しかし家族が心配でたまらない夫は幽霊となって
見守りつづけ、謎を解き、サヤたちを守る。
ファンタジーと日常の謎の合いの子のような暖かい作品。
設定だけ読むと子供だましのような小説と思うかもしれない。
だが、そんな安っぽさは微塵も感じられない。
むしろありえないはずの設定を素直に信じ
その世界にすんなりと入り込むことができる。
なぜだろう?
すぐに人を信じてしまうサヤに私も知らない間に
影響を受けたのかもしれない。
彼女の暖かい人柄に多くの人が救われる。
おせっかいで口うるさいおばあちゃんたち3人衆。
口が悪く、見た目もヤンキーのようなママ友達。
いまどき珍しい「ご近所付き合い」がここでは展開されていて
それがほほえましく、うらやましい。
きっと彼女は永遠に変わらないんだろう。
ずっと少女のような心をもちつづけるんだろう。
けれども、夫はその様子を見守ることはできても
一緒に体験することは二度とない。
彼女が魅力的であればあるほど、夫の最後の決断はさびしく、
読後感は切ない。
登場人物がおもしろく軽快なやり取りをするので
全く悲しい話ではないのですが、ホロリときます。
特に「待っている女」での夫の変わらぬ優しさを感じて泣けました。
死んでしまった人はいつまでも変わらないけれど、
残された人はそこで足踏みをするのではなく、
変わっていく勇気を持つことが必要なんだと感じました。
加納朋子さんの作品に共通する温もりが「ささらさや」という題名と同じように優しく読み終えた後も包み込んでくれます。
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