「青い花」という、質の高い舞台演劇を彷彿とさせるリリカルで文学趣向に富んだ百合作品が先出しされた為に何かと比較され、当初の際物ギャグ風味が空転した印象を与えてしまい、出だしは芳しくなかった作品、と感じました。感覚的に同軸線上の「青い花」に馴染んでいた事による違和感も要因かもしれません
ですが、この作品がじわじわと面白みを発揮し始めるのは、毎度少ない登場ながらも常に中庸で良識的、何かしらパン的な物を食べてる、存在感抜群のきょりちゃんと、突飛な言動と徹底した独自の美学から来る先の読めないアクティブさが周囲を振り回しつつも、他人の機微に極めて敏感で思いやりと気遣いに長け、その上並みの男子より”男前”な朋絵の活躍頻度に因るところが大きいと思いました
特に朋絵に関しては、女子部に纏わる物語の起点に留まらず、さまざまな人間模様で絡まった軋轢や蟠りを、ある時は諌め、ある時は行動で示し、ある時は優しくアドバイスし、事態を収束させる役割を持たせているので、設定により2歳年上、という期間的な差以上に大人びた印象を受けます
また、中盤以降にお目見えするあずさも、百合要素を含まない一般的な形式として「周囲の見えない情熱の温度差がもたらす疎外感」という、誰もが一度は経験するような共感要素を持たせたりと、何かとこの作品はサブキャラクターに光り輝く逸材が揃っています。他にも朱宮君+ドンデモ妹さんや面白家政婦さんもいますし
単なる百合恋愛ギャグもの、と言うよりは、メインを取り巻くサブキャラクターの挙手がとても興味深く独特の奥行きのある作品だと感じました。当初では考えもしなかった事ですが、物語が中盤になってからDVDを予約しました。女子部の回に流れる「JOSHIBU」の合唱曲、挿入歌の「すぐそこにみえるもの」や蓮実氏のサントラもとても素敵です。良作とか傑作とか、そんなのどうでもよくて、個人的に「ゆっくりだんだんと、でも確実に、とても好きになった」作品です