本書は、地方自治体として初の破産を経験した夕張市の医療の再建を担った村上智彦医師の一つの中間報告であり、破産を経験しても変わることのできない既得権者と無自覚な中に惰眠する人々との戦いの一つの勝利宣言である。
書籍としては、インタビューを起こした様な体裁で項目別けも明確に小テーマに絞り、極めて読み易い。編集者の明確な本書出版の方向性を感じる。
本書の主要テーマは、従来の感染症との戦いの時代に築かれた医療体制と医療・医師信仰から、「長寿」の時代の「ささえる医療」への転換を、医師と行政そして住民・患者がどのように受容すべきか、受容することに伴う「混乱」を社会として如何に受け止めるかにあると読んだ。
敢えて火中の栗を拾い、「あえてブス殺しの汚名をき」た村上智彦医師の覚悟と度量を楽しめる一冊であるが、それに留まらず日本の医療のすぐ先(超近未来)に登場するであろう姿を、一足先に知ることができる一冊である。