祖母と友人ふたりが少女時代を過ごした土地に建つ古い西洋館。彼女たち3人は、なぜそれを
自分たちの孫に遺そうと思ったのか?この西洋館にはいったいどんな真実が隠されているのか?
3人の孫は、彼女たちの人生の軌跡をたどり始めた。
彼女たちはなぜ、自分の子供ではなく孫に思いを託したのか?その理由が徐々に明らかになって
いく。過去の物語と現在の物語。そのふたつが、両側からそっと包み込むように真実に迫っていく。
きらめくような少女時代の中にあった祖母たちが直面したできごと。それを知ったとき、作中の
孫たちも、そして読み手である私も、同じように衝撃を受けた。祖母たちは、語らなかったのでは
ない。語ることができなかったのだ・・・。語ることができなかったからこそ、孫たちには自分自身の
目で見て、自分自身の耳で聞いて、そして自分自身の肌で感じてほしかったのだ。そういう祖母
たちの思いが、痛いほど伝わってくる。温かみのある文章で、静かな感動を描き出した、読み応えの
ある作品だと思う。