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さえずり言語起源論――新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー)
 
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さえずり言語起源論――新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー) [単行本(ソフトカバー)]

岡ノ谷 一夫
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

ジュウシマツの歌には「文法」がある――これが転機をもたらす大発見だった。進化的な起源の異なる小鳥の歌が、言語進化の謎に迫るカギとなるのはなぜなのか。初版刊行から七年半、性淘汰起源説に相互分節化仮説が加わった。「言語の起源は求愛の歌だった」とする進化のシナリオを、苦労と喜びと興奮が満載の研究者人生とともに描く。

内容(「BOOK」データベースより)

ジュウシマツの歌には「文法」がある―これが転機をもたらす大発見だった。進化的な起源の異なる小鳥の歌が、言語進化の謎に迫るカギとなるのはなぜなのか。初版刊行から7年半、性淘汰起源説に相互分節化仮説が加わった。「言語の起源は求愛の歌だった」とする進化のシナリオを、苦労と喜びと興奮が満載の研究者人生とともに描く。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 144ページ
  • 出版社: 岩波書店; 新版 (2010/11/26)
  • ISBN-10: 4000295764
  • ISBN-13: 978-4000295765
  • 発売日: 2010/11/26
  • 商品の寸法: 18 x 13 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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タイトルに騙された感あり。
ほぼ大半が、ジュウシマツとその原種のさえずりの進化についての、研究室日記という感じ。
さえずりの進化については、複雑化のみであり、言語文法とかとは全く関係ない。
最後の数ページで、無理やり言語起源論として、あくまでも仮定レベルでの提唱があるだけで、少なくとも私には全く説得力がなく感じられた。

鳥も言語論も好きなので、分野的にはおもしろといと思うので、もっと頑張っていろんな研究結果をこういった書籍にしてほしい。個人的には研究日記的な誰がどうした文調が嫌いだが。

さえずりじゃなく、地鳴きとかで研究すればもっと面白い発見がありそうなんだけどなぁ。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「え? 鳥のさえずりがなんでヒトの言葉と関係あるの?」という疑問は、しごく普通の感覚であろう。だが、本書を読み終わる頃には、「きっとそうに違いない!」と思うようになるはず。「岩波科学ライブラリー」に収められた本書は、分量的にも丁度良いし、岡ノ谷さんの文体は読みやすい。

従来の言語起源論では、まず「意味」を持つ単語が生じて進化し、その後、それらを制御する「文法」が生じたと考える。岡ノ谷説はこれに対し、意味の進化と同時並行に「性的ディスプレイ」の進化が生じ、これらが絡み合って「言語」が進化していったと推測する。

きっかけは、ジュウシマツの歌には「文法」がある、という発見だ。ジュウシマツの雄は雌に対して求愛のラブソングを歌う。雌は歌の上手い(複雑な)雄をつがいとして好む傾向がある。「こんなに歌が上手いのなら、その他の面でも優れているに違いない」ということが、生得的な繁殖戦略に刷り込まれているのだ。これを「性淘汰」という。鳴禽の歌だけでなく、アズマヤドリなどの美しく飾り立てた巣や、カタカケフウチョウのダンスなども、ジュウシマツの歌と同様の「性的ディスプレイ」である。これらは、コストがかかっても、雌を射止めることのメリットの方が大きく、そのような雄が子孫を残すことができたために広まっていった。このような「性的ディスプレイ」を担うのは、主に運動系の調節や感覚系との統合を行う神経系である。

このような「性的ディスプレイ」は、厳しい環境では発達しにくい。実際、上記のような歌やダンスや巣を作る鳥たちは、餌を求めて渡りをする種類ではなくて、暖かく食べ物の豊富なところに棲息している。ジュウシマツの歌も、より野生のコシジロキンパラの時代よりも、ペット化されるようになって複雑化したと考えられる。この間、たった250年だ。

人間も、「集団生活、道具使用、農耕牧畜によって自己の棲む環境を安全で豊かなものに作り変えてきた。」これは「自己家畜化」と捉えることができると岡ノ谷さんは考える。「性淘汰」によって進化しつつあった行動が、「人間の自己家畜化により制約を緩和されたことで」、ダンスや歌などのディスプレイがより大げさになることができ、文法を可能にした「前適応」が進化したという。

ここまでの「ヒト言語の文法の性淘汰起源説」は、すでに旧版で唱えられていたことなのだが、本書ではさらに新たな仮説が付け加えられている。それは「状況と音列の相互分節化仮説」というものである。

歌の変異が蓄積していく過程において、歌は性的な文脈以外でも、例えば、狩りの前の儀式や、食事の前や、亡くなった人を悼むためにも歌われるようになった。そのとき「ある文脈における歌と、他の文脈における歌とが一部の歌節を共有」していたとすると、帰納的にその共通項がある「意味」を持つようになり(例えば「みんなで○○しよう」)、さらに次の段階では演繹的にその「歌節」を応用して使うことができるようになるという仮説である。

私自身は、この進化した「相互分節化仮説」がとても腑に落ちた。おそらく、このようなことが可能な神経基盤は生物学的に共通して存在しており、したがって文化的な差異も超えて機能しうるものと捉えられる。子どもが母語やそれ以外の言葉のシャワーを浴びて育つ過程においても、おそらく、子どもの脳の中では膨大な数の言葉の中から帰納的に共通項を見つけることが可能で、さらに、その共通項を自分で自由に操ることが可能になるのだろう。

旧版もそうであったが、岡ノ谷さんは研究成果を紹介するときに、その研究に関わった学生さんや研究員の方を主語にして説明されるのが素敵だと思う。研究はやっぱり「人」が行うものであって、そうやって語られることによって次に伝わっていってほしいと願う。
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1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 昭和弐拾八號 トップ500レビュアー
書店で岩波科学ライブラリーを漁っていて、どこか琴線に触れた本書を発掘してきた。
心理学の先生と鳥類の行動生態学(と言語学)のどこが関係あるのか?と不審に思いながら読み進んで行くうちに、何が引っかかったのか段々と分かってきた。 面白かったところを、ランダムに記す。

・私は子供のときジュウシマツの飼育に打ち込んでいたことがあり、あの独特の長い囀りは今でも懐かしい。
 なお往年の飼育書では、ギンパラが原種ということになっていたと記憶する。そのギンパラも飼ったことがあるが、コシジロキンパラとは全く違った色をした鳥だった。コシジロキンパラは、写真・図で見る限りジュウシマツと見分けがつかない。
・ジュウシマツとその原種コシジロキンパラ以外に、カエデチョウ科の数種についても触れている。飼育家を対象とした本には、科学的な記述は殆どないので見逃せない。
・台湾におけるお弟子さんたちの、コシジロキンパラのフィールドワーク記録が非常に興味深い(後述)。
・本書前半で紹介されているこの研究テーマの先達・小西正一氏の「小鳥はなぜ歌うのか」を1994年頃、偶然、読んでいた(今回、自分の書棚から発見して再読中)。
・放送大の「行動生物学」(長谷川眞理子教授)を2004年に履修したとき、本書の内容と同じことを学んだ覚えがあった。
改めて読んでみると、「行動生物学」の第11章は、図版を含め本書の研究成果を要約したものであった。ティンバーゲンの「4つのなぜ」は課題に出た。その概念は難しい。
・バードウオッチャーには、囀りと地鳴きの(他種との)識別は常に重要である。
・近縁種との「混群」(p.86)問題も、バードウオッチャーにとっては見逃せない。
・鳴禽類の囀りからヒトの言語の起源を探ろうとする試みは、言語学・外国語に関係する者にとっても無視できない。
・繊細な楽器(ギター、リュート、リコーダー)を趣味とする著者の、いわゆる「耳のよさ」が、恐らくこの研究に大きく寄与している。
・ジュウシマツの囀りの音量(dB)が原種よりずっと大きいというのが、意外だった。家禽化された他の鳴禽類(カナリア等)にも同じ現象があるのだろうか。地鳴きの比較はしたのだろうか。もう少し突っ込んで欲しかった。

以上の幾つかは、動物行動学、言語学、鳥類学(バードウオッチングを含む)を趣味・ライフワークとする人々にとって興味深いテーマの本で、お薦めできる。
この本自体が7年前の初版本の全面改訂版だそうだが、次の改訂版への要望を記すと、

1)本書の図版も分かり易いが、次の版ではカラー写真を多用してほしい。
2)マルコフ分析、「ティンバーゲンの4つのなぜ」は、生物系学科出身でない素人にはかなり難度が高い。いま少し、噛み砕いた解説をお願いしたい。
3)台湾におけるお弟子さんたちのフィールドワーク記録は、別の切り口で、つまり動物行動学のフィールドワーク記録、および文化人類学的な切り口、更には台湾と日本との歴史的関わりの文脈で、是非、1冊の本として出版していただきたい。本書の中で著者は、台湾で使われている言葉を「中国語」としているが、地方の住民(本省人)が話しているのは台湾語であろう。 また、アミ族がお弟子さんたちを歓待してくれたエピソードも、日本統治時代における(旧)高砂族との肯定的な歴史を踏まえなければ、語れない筈である。

併せてお薦めの本:
1)動物の行動と生態(長谷川眞理子 放送大学教育振興会 2004-03)
2)生き物をめぐる4つの「なぜ」 (長谷川眞理子 集英社新書 2002-11)
3)小鳥はなぜ歌うのか(小西正一 岩波新書 1994-05)
4)フィールドガイド日本の野鳥(日本野鳥の会 1982初版) ※原種の図版あり。
5)対論 言語学が輝いていた時代(鈴木孝夫、田中克彦 岩波書店 2008-01)
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