ユーモラスな作風で人気のイギリスの絵本作家ジェームズさんの珍しく真面目な正統派絵本です。私が著者の作品に初めて出会ったのは数年前に読んだ小学館の絵本「テンサイちゃんとロボママ」でした。それはイカれたロボットのママが出て来るSF風のちょっとぶっ飛んだ内容のユーモア絵本でしたが、今回は真面目でおふざけが少なく生まれて間もない幼い小鳥が試練を経験しながら成長して行く感動が味わえる絵本になっています。
公園に枯葉が舞い冬が近づく頃、鳥たちはみんな暖かい南の国へと向かおうとしていました。甘えん坊の小鳥ジョージもママから「飛ぶ練習をしようね」と言われ「まだいいや。こわいもん」と答えてのんきに構えていたのですが・・・・。
この絵本は何となく自然界ではあってもおかしくないのかなと思えるお話ですが、でも冷静に考え直したらまずこんな偶然は本当には起こらないだろうなという珍事件を、「秋風のいたずら」を巧みに使ってドラマチックに演出しています。絵本にも同じ事が言えると思いますが、良く出来た四コマ漫画ではお馴染みの必須条件である「起承転結」がバッチリと決まっています。読者はまだ一人前でないジョージが一体どうなるのだろうと心配しハラハラドキドキしながら読み進める内に、やがて遂にやって来る最大のピンチに胸が締めつけられる様な気持ちになって、そして次の瞬間に迎える爽やかな感動の結末に大きな喜びが溢れ出し、心がスッキリと澄み渡って晴れやかになるでしょう。道行く町の人々が思わず足を止めて笑顔で空を見上げる表情も素晴らしく幸せな気分にしてくれると思います。私は作者の作品をこれで2冊読んでどちらも大満足させてくれる出来栄えだと感じましたので、昔に出た他の絵本も探して読みたくなりましたし、作者の今後の活躍にも要注目して行こうと思います。