この『ご近所物語』を読んだとき矢沢あいさんの発想の進化プロセスがわかった気がしました。彼女の全作品を読んでみると、女の子の自立と依存がクローズアップされている気がします。とりわけ、最新作『NANA』の恋愛依存体質のハチこと奈々と、自立へのプライドをもつナナという二人のNANAが描かれているのが象徴的。たぶん自立の原型となったキャラクターが、この幸田美果子なんだと思う。もちろん単純に割り切れるわけではなく、好きな人への献身と自分の夢への強烈なプライドと目的意識が揺れ動くわけだけど、少なくとも美果子ちゃんの強烈な目的意識は、男よりも確実に自分の夢を優先している。年齢層がそれほど高くないこともありハッピーエンドにしているが、このテーマは、とっても大きな問題だと思う。普通に人生生きていれば、男性も女性も皆等しくぶち当たるはずの壁だからだ。両立というのは、極めて特殊な条件が揃わなければ、まず無理だから。それと、バディ子こと中須茉莉子の、生きる目的とそれがないことが感じさせる『なにもなさ感』の恐怖というものもまた同時に等しく重いテーマだと思う。みんながみんな目的なんかもって生きているわけじゃないからねぇ。僕なんかは、断然バディ子に共感してしまうよ。『ご近所~』では、主人公たちがまだ高校生で自活していないという部分が大きな制限になっていたが、『NANA』では、その制限が取り払われている。同じテーマだと思うが、より深いところまで見れる気がして非常にたのしみだ。ほんとうは、いろいろな三角関係とかで、ご近所の社会人版のほうが、もっと濃い話になるんだろうけど、それは少女誌では描けないだろうしねぇ。そこまでいくと、柴門ふみさんになってしまうもんねぇ。