今回は第1巻に続く対シムール族との戦闘ですが、シムールと帝国との戦い方やしきたりの違い、帝国内の権力闘争にからむ思惑などのほうにたくさんの紙面が割かれているため、メインであるはずの主人公を中心とした戦闘・戦術場面では第1巻よりも却って緊迫感が無く、ほのぼの感すら漂っています。
この巻で新たな登場人物がたくさん出てきたことですし、好意的に解釈すれば、この巻は次巻以降の「伏線」のためと考え、このあとの展開に期待…というところでしょうか。
作者の鷹見一幸氏は、軍記または軍師モノをいくつか書かれていますが、大体の作品では敵の深層心理や思い込みの隙を突くというのが「作戦」のキモであり、物語自体の楽しみの一つです。
実は、今回と類似の作戦を同レーベルでの氏の作品「小さな国の救世主」でも使用していますが、この本で初めての氏の作品に触れる方には十分に楽しめるものだと思います。