実に読み手を選ぶというか、ピンポイントに狙った作風。がっつりハマるか拒否反応を起こすかで好みが分かれると思うが、主人公(あるいは作者)の趣向一点に天晴れなほど突き進む姿勢にはネガティヴ感想を強引に抱き込むパワーを感じる作品でもある。
では、どのように読み手を選ぶかとなるが、まずは主人公の設定。むしろ清々しいというくらいアホ。少々品が無く『
いぬかみっ!』の主人公・川平啓太に近い印象。メイド好きも大概にしなさいよ、という偏りをとことん貫いているので、これが笑えて許せるならOK。基本的に善人。その真っ直ぐな心意気が困難を打ち破る。相当な超展開だが、理屈でどーこー言う時点で本作は読めなくなるので笑ってスルーしよう。後半はイイ奴になる。次に、氏名や得物の名称などなどのネーミングセンス。これが見方によっては“夜露死苦”(これをすぐに「ヨロシク」と読める人はきっと「横浜銀蝿」を知っている)系でかなりキテる。これもまた笑えるか「うへー」となるかで分かれるだろう。ヒロインに関しては、これだけ主従の逆転したメイドも珍しいくらいだが、これには秘密が絡んでいる。この秘密がストーリー面での柱となっていく。あと、意外にもバトルがしっかりあって危機にも陥る。「金髪碧眼武将系メイド」ということで語り口もこれに準ずる。幾つかの決めセリフが結構いいタイミングで出てきて笑える。後半から次第に恥じらう感情や言動が出始めて破壊力絶大。ツンデレの幼馴染みもいて女性陣は申し分無い。
前半のおちゃらけから健気で一途でアツい後半へのギャップは盛り上がる。快活な文章には「解る人には解る」的な特異性が若干あるものの面白い。絵師さんもグッジョブ。最後の挿絵で読後感を一気に高めてくれる……もちろん良い方向で。