絵本はとかく教訓じみているものが多い。
しかし本書は、お説教くさくない。そこが面白いところだなと思いました。
ごきげんななめのてんとう虫が次々に喧嘩をうっていきます。
ただ「ごきげんななめ」なのであって、「悪」ではないそのてんとう虫は、言い訳をしてその場を去っていきます。
時間とともに、その相手も大きくなっていく。
本のページも大きくなっていきます。
「次はどんな相手だろう…?」
一年生に読み聞かせをしたときは、次々に知っている動物を口にしていました。
読者の興味を引き付けるという、本の最低条件をクリアしています。本の体裁、絵の美しさ、ストーリーの期待感、迫力…子供は読み方次第でいかようにも想像力をふくらませることができます。
更に後半では、鯨の尾びれに吹き飛ばされる場面があります。わがままで、自分を見つめることのできないてんとう虫にとってはあつらえむきの罰です。
鯨も無意識のうちに、その体の大きさがゆえに吹き飛ばしてしまいます。命もなんの問題もなく助かります。
そこで自分のふるさとに戻ったてんとう虫は涙をながします。
その涙の理由を子供に聞くと実に色んな声がかえってきます。
子供の冒険心を満たし、善悪の判断もしっかりしてくれる。妥当な罰に、温かな救済。絵本の教科書のような本です。説教だけで子供が育つのではないことを、大人にも教えてくれる良書です。小学校低学年までにぜひ読んであげてほしいです。