読売巨人軍球団代表・清武氏が、野球人の「叱る力」について、さまざまなエピソードとともに纏めた一冊。ドン底状態のジャイアンツが頂点に至るまでの中、現役の球団代表という格好のポジションで観察しつづけた”叱る技術”は、ビジネスの世界でも有用な内容が多く、ジャイアンツファンならずとも興味深い内容である。
特に印象的なのは、選手から選手へ”叱る”言葉が発せられる時だ。本来プロ野球選手とはそれぞれが個人事業主で、お互いが競争相手である。そんな中、共通の目標へ突き進むために選手同士で叱咤のメッセージが交わされるときは、どんな場合でも特別な意味合いを持つことが多く、どのエピソードも味わい深い。
また、当然ながら現巨人軍監督・原 辰徳のエピソードも満載だ。おそらく原 辰徳という人は日本で一番叱れられた野球人なのではないか。高校・大学時代は父子鷹という特別な状況ゆえに父親から怒られ続け、巨人入団後は全国の巨人ファンから“チャンスに弱い“と叱られ続けた。そんな原 辰徳だからこそ、叱る技術も日本一なのかもしれない。
効果的な叱り方が実践される時には、どんな場合でも、しっかりと”いいね!”ボタンが押されている。それらはいずれも、分かりやすい形ではないかもしれないが、意外な状況で、意外な人から、意外な表情で、意外な言葉とともに、実に効果的な形でボタンは押されているのだ。
耳に心地良い言葉ばかりを交わし、”いいね!””いいね”!と声をかけあうような場所に進化はない。その世界を生かすも殺すも、”いいね!”ボタンの押し方一つなのである。