上司と部下について書かれた本は、これまでたくさん読んできた。多くは経営コンサルタント諸氏の手によるものだった。
しかし正直な感想を言えば、これは使える! と感じたものはほとんどなかった。理屈はわかるのだが、実践可能だろうか? と疑問に感ずる内容が多く、なかでも上司のノウハウについて書かれた部分はそうだった。
この本はメンタルヘルスを表の目的にしているはずだが、その根底には、現代求められる、しかとしたビジネス論がある。そのために納得できる部分が多かった。
理想論でもなければ、架空論でもない。現場の姿が見えるようで、ある意味心地よかった。
著者は多くの経験をもとに、資料のみならず生のインタビューを基盤として織り込み、そこから結論を導き出そうとしている。だから理論が空転しておらず、「論」に終始していない。
このあたりは、昨今爆発的に売れている本と比べて、むしろ好感が持てる。日常の場で使える本という以上に、自職場こそこうありたいと感じさせられる本だった。