本書は、「こんなに変わった歴史教科書」というタイトルですが、対象にしているのは日本の歴史であって世界史の部分は人類登場の1テーマ程度です。
人類登場から三内丸山遺跡、稲作のはじまりというように非常に昔のことから、中世(鎌倉・室町)、近世(戦国・江戸)、さらには近代(明治)まで36テーマをとりあげています。
タイトルのうち「こんなに変わった」については、中学校の歴史教科書を1972年のものと2006年のものを比べてその変化をみようという、なかなか興味深いテーマ設定となっています。
しかし、源頼朝、足利尊氏、武田信玄の肖像画はそれぞれ別の人を描いたものという謎解きあたりはなかなか読ませるものの、読み進めるにつれてだんだん、「2つの教科書の違いを明らかにする」という要素はあいまいになっています。単なるその時代のトピックスの解説になっていると言っても過言ではないでしょう。
なので、「こんなに変わった」に期待して本書を読む人は、やや期待はずれかもしれません。
記述はそれなりに興味深いものの、これだけの長い期間を36のテーマでカバーするのですから、いきおい解説は断片的で深みにやや欠けるものにならざるを得ません。また、山本博文氏が監修しているものの、実際に記述しているのは5名の大学非常勤講師や院生等であり、筆運びがよく言えば堅実、悪く言えばやや平板です。
歴史好きの人にとってはびっくりするような新たな視点が得られる本ではありませんが、読むのに時間がかかるような本ではなく、日本の歴史をトピックス的にたどる気軽な本として、一読してもいいかもしれません。