中高生を対象とした数学入門。「毎日中学生新聞」に連載された記事を1冊にまとめ加筆修正したもの。同じ著者による『生き抜くための数学入門』(新井紀子 2007年 理論社)と同じテイストの本。
中学生3人組と数学の先生との対話形式で話が展開するスタイルも『生き抜くための数学入門』と同じ。ただ、元が新聞連載だからか、ハジケ具合はおとなしめ。取り上げられている数学的概念は、有理数・無理数、関数とグラフ、確率論、論理的飛躍への敏感さ。
「数学は論理的思考能力を育てるためのトレーニングだ」というスタンスを明確に取っている点に、この著者の特異性がある。本書では、そのスタンスが一層先鋭化している。『こんどこそ! わかる数学』というタイトルになっているが、数学的概念そのものではなく、数学的に考える(論理的に考える)コツを教える内容になっている。例えば、前半1/3を費やしている有理数と無理数の話では、「有理数(無理数)とは何か」よりも、「有理数(無理数)とは何か」という問題について考える際に、何から始めてどのように考えていけばよいのか、その道筋やとるべき態度を示すことに主眼が置かれている。数学的概念の定義や公式を丸暗記したってしょうがない。それが何についてであれ、自分で一から考える力をもつ、ということが大事なのだ。
薄い本で、扱われているトピックも多くないが、厳選されたトピックを題材に論理的思考のコツが示されている。論理的に考えるクセを身につけたい、という中高生にオススメ。