カナダやヨーロッパ各国のカントリーサイドの撮影活動で知られる人気写真家が、魅力溢れる写真と文章で綴ったフォトエッセイ集。
岬の草原に立つ廃家、継ぎ接ぎだらけのデコボコ道、農地の真ん中に残された広葉樹、自給自足の生活を守る人々、ユニークな手作り郵便受け、美しい光放つ灯台、陽の恵みを浴びる庭々、心の中にある夕焼け空、大草原に建つ麦の積み出し倉庫、キラキラ輝く電球に彩られた聖なる夜、夜の街の不思議な色彩空間、旅するカナディアン・グース……。
カナダの“こわれない”素朴な風景を切り取った写真と文章をとおして、日本や日本人が失いつつあるものに気づかせてくれる。
それにしてもこの作品、なぜこうも心に響きわたり、素敵な余韻を残してくれるのだろう。それは恐らく、“伝えたいこと”を強く持つ作者による詩的な写真と、真っ直ぐで、てらいのない文章によるものだと思う。
こころ豊かで、幸せ気分にさせてくれる、宝石箱のような作品である。
吉村さんの作品では、『あさ/朝』『ゆう/夕』(谷川俊太郎氏との共作)、『緑の島に吹く風』(作者のこれまでの歩みが分かるエッセイ集)、『ローレンシャンの秋』(カナダ東部の息を呑むような紅葉を収めた写真集)、『SILENT NIGHT』(カナダの夢のようなクリスマス風景)もお勧めです。