PHP研究所も松下政経塾も共に、パナソニック創業者である松下幸之助が設立したものであるが、本書はその両者の企画によるもので、松下幸之助の精神を今にどう活かすかということを基調としている。
本書の構成は、まず編者であるPHP研究所と松下政経塾がテーマの解説・導入を行い、次に中村邦夫会長の口述を掲載し、最後に松下幸之助の残した著述で締め括る形とし、テーマは21項目に亘っている。
危機的な状況にあったパナソニックの変革と再生を大胆に実践した中村会長への評価は高いが、同氏はそれを個人の評価とつなげることを「よし」としておらず、本書においても抑えの効いた内容となっている点に好感が持てる。「創業者の経営理念そのものは正しいものであり、いつの時代にも通用する普遍的なものと捉えている一方で、それをその時代に合った言葉で社員に伝える役割はその時々の経営者の役割である」というコメントには責任と覚悟が感じられる。