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786 人中、713人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
非常にいい本だった。でもこういう本こそ、批判的に読めるようになりたいと思う,
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レビュー対象商品: これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 (単行本)
巷の噂ではものすごく売れているという政治哲学の本。ハーバード大学で政治哲学を教えているということだけど、その講義がものすごい人気で、テレビでも放送されたほど。日本でも、現在、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』として放送されている。学生時代、「正義論」については関心があったので、ロールズやノージック、ドゥオーキンらの著作は読んだけど、そんなに万人受けするものではないと思うが、テレビの影響があるとはいえ、日本でもこんなに読まれるということは、やはり、内容的にもいい本なのだろう。 読んでみると思った以上に読みやすい。翻訳者の力量もあるのだとは思うが、著者の非常に論理的な構成力と、上手に具体例を交える能力のおかげで、とても分かりやすく説得力のある内容になっている。 最も感心したのは、アリストテレス、ロック、カント、ベンサムなどの過去の哲学者から、ロールズ、ノージックといった現代の哲学者まで、彼らの主張を丁寧に紹介しながら、巧みにそれを、経済格差など現代の社会問題にあてはめ、コミュニタリアンとしての自分の主張につなげていくところ。 一時期、ロールズの正義論に魅かれていた(といってもちゃんと理解してたわけじゃないけど。)自分でも、著者の主張に肯いてしまいそうになる。 でも、ちょっと危ない。 確かに彼の主張は彼の文章力もあって説得力もあるし、現代のアメリカ社会の批判にもなってはいるんだけど、共同体を強調することで、現状のアメリカ、オバマのもとでのアメリカを肯定する意図が見え隠れしている。本当にオバマが目指す社会は、「正義」にかなうのか。それは、誰にとっての「正義」なのか。 私には、ハーバード大学の教授の主張を論破する能力はないけれど、どこか危うげな感じを受けてしまう。こういう本こそ、批判的に読めるようにありたい。できれば、サンデル批判の「正義」論を読んでみたい。
71 人中、65人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
面白い部分もあるがアメリカ的,
レビュー対象商品: これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 (単行本)
流行りに乗って購入してみました。正義の選択理由は何か?正義の定義は何か?という内容で、読者にさまざまな状況下での行動の選択をさせ、その行動はどういう主義に基づいたものかという説明をし、また実際あった事件について正義の判断がどう行われたかを紹介していく。 その過程で過去の哲学者の正義論を紹介しつつ、功利主義・自由至上主義に基づく正義論の矛盾や不備を指摘していき、最終自らが主張する、正義には美徳を涵養する事と共通善について判断する事が含まれ、コミュニティと伝統から生まれた道徳的要求を無視する事はできないという考え方を唱えていく・・・。 まぁ日本人はもともと道徳感と正義とは区別は曖昧で、コミュニティや伝統から生まれた価値観を重視する傾向があるので、この本の前半に紹介される功利主義や自由至上主義の方がいまいち納得し難く有る意味新鮮なものがあり、サンデルさんの主張には特に新たな感銘を受ける事なく、「そりゃそうかもね、ただ行きすぎたら恐いけど・・・」程度で終わりました。 カントやロールズ、アリストテレスなどの思想家の紹介の部分は、各偉人が自分の主張を正しいものとするため、矛盾・不備と指摘される部分に対しどのような論理展開で正当化するのか?という部分で楽しめる。 あと本筋とは関係ないが、過去に対して責任を持つべきか?と言う命題の際に、ドイツのユダヤ人ホロコースト、日本の朝鮮・アジア諸国に対する虐待、オーストラリアの先住民への不正、アメリカの戦時中の日系アメリカ人強制収容、黒人奴隷差別など多くの例が何回か語られるが、なぜかアメリカ人がインディアンの土地に勝手に侵入し自らの土地として国家を建設をし先住民を追い払い虐待したという事には一切触れられない。これはやはりアメリカ人にとっては「それを言っちゃぁ、おしまいよ!」という部分が有り、ましてや「正義」を語る際には触れてはいけないタブーなのだろうか? 考え方を学べるので読んで損はないが、特に感銘は受けない本。
524 人中、454人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
あえてマイナス点を挙げますと,
By アマゾネス愛子 (ドイツ国カイザースラウテルン) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学 (単行本)
「検察官の兄が、殺人犯の弟を匿うべきか?逮捕起訴すべきか?」「難破された者が生き残るために救命ボートの定員を減らすよう、殺人を起こしてもいいのか?」 など「究極の2択」を使って、哲学をしていきます。割に面白く、そしてけっこう難しい。 経済学や社会学(統計を使った)でよく使われる方法で、詳細は「ソーカル事件」でググって頂くといいのですが、この手の議論では、非常に納得できる場合ほど穴が大きく、彼の場合もまたそうだ、と言うことです。 要するに「AかBか?」で始めてるんだけど、実はすでに「A」と言う結論ありきなんですね。で森羅万象から証拠や事実を集めているように見えて、実はAにとって都合の良いモノしか集めていない。だから絶対に答えはAになる。 だから本人は「まぎれもなくAだ」と言ってるんだけど、周りから見ればだいぶズレがある、ってことは多いわけです。 問題は彼が、バリバリの共同体主義だと言うことですね。 だから「裁判官」のようにフェアに見えて、実は「検察側」なんです。で「検察側」にとって都合のいい話ばかりする、 検察官の彼に裁判官のポジション(政府の要職など)を与えれば、ズルいですよね。 弁護士側がどんなに上手に訴えても、敵わなくなる。 レトリック法としては、非常に巧妙で、参考になるんですけど、 ハーバードの肩書き、そして巧妙なレトリックのせいで、100人が100人「○○が正しい」って流れちゃうんが怖いですね。 実は僕も共同体主義者ではあるんですが、だからこそ「穴」はだいぶ見つけられるんですね。 これ1冊読んで分かった気になってる人が多いと思う。 でもそうじゃなくて、これを機にたくさん本を読み、また遊びや仕事の中から「正義」を見つけ出すべきですよ。
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