読了− 今、たまらなく著者に会いたい。
彼は故郷の里山を師とし、親とし、友として育った、生粋の自然児だ。
暗い淵の底に潜む、巨大ウナギとの格闘。
唐鍬一本を手に、荒地を開墾して作り上げた畑。
オオスズメバチの巣を巡っての、息の詰まるような駆け引き。
これが本当に、現代日本に生きる若者なのか?
新鮮過ぎる驚きは、脳震盪のように読み手の胸を揺さぶるに違いない。
少年の成長とともに、里山の豊かな恵みと厳しさ、そしてそこに生きる人々の粗野だが温かな心の交流が、自然と物語を紡ぎ出す。
それは実体験だけが持つ息遣いを伴って、生き生きと読み手に迫ってくる。
便利で、安全で、効率的になった現代日本。
そこに生きる我々の心に空虚な隙間があったなら、それを埋める答えは、通り過ぎてきた道の向こうにあるのかもしれない。
今だからこそ、振り返って受け取りたい。
いなかからの、お裾分けを。