今まで何度あったかわからない「へえ、落語好きなんだ、渋いねw」、「落語、一度聴いてみたいんだよねえ」、「おすすめの落語家は?」、「なんかさあ、落語って難しくない?」、「笑点ってどう思う?」、「まだ落語ブームなの?」、「同じ話を何度も聴いておもしろいの?」、「興味はあるけど、聞いたこと無いんだよね」・・・という質問だか偏見だかなんだかよくわからないことを聞かれたときの答えが、やっと決まった。「この落語家を聴け!」を読め。
もうこの先はずっとこれで行くことにする。
とにかく、うれしいんだよね。落語ファンならわかってもらえると思う。もちろん今までも落語に関する本はたくさん出ているし、立川談志を筆頭に落語家が書いた、読まなきゃ損する落語の名著(「赤めだか」とか「全身落語家読本」とか「超落語」とか)も枚挙に暇がないし、いわゆる落語評論家/演芸評論家が書いた本だって充実した内容のものは幾らだってある。でも「こういうこと」を、「これ」を、書いた本はなかったんだよなあ。
落語は“いつだって”素敵な優れたエンターティンメントなんだよ、ってことを、だ。
この本によって“基準”が出来た。「今の落語のスタンダード」という意味で。著者の広瀬氏が、おそらくそこにこそ腐心しただろうことは想像に難くない。広瀬氏は、ただ自分が好きな落語家について好き放題書くのではなく、落語ファンの誰もが思う、「こういう本があったらなあ」という思いを具現化するために、この本を苦労して書き上げたのだと思う。
とにかく、これで、“基準”は出来た。これからは、ぼくも含めた落語ファンは「今の落語界」やら「落語というものは」を背負わずに済む。これからは各々の趣味の範囲内で、「あの落語家が好き/嫌い」とか「自分が好きなタイプの落語はね・・・」ということを、「この落語家を聴け!」にはこう書いてあったけど・・・という便利なフレーズを使って、正々堂々と言っていいんです!
ああ、もう、こんな幸せ(と便利・笑)があっていいんだろうか。
具体的な内容についてはまったく触れていませんが、落語ファンの方なら「自分の耳」と比べながら楽しく読める筈ですし、まだ落語ファンでない方なら、未知の世界に思いを馳せながら(ちなみに広瀬氏が引用する高座での話芸は雰囲気そのままで素晴らしいです!)、「誰から聴くか」を考えるだけで幸福な時間を過ごしていただけるだろうと、思います。ぜひ、お手にとってお確かめください。
ようは、「この落語家を聴け!」を読め、そして、落語を聴け!、とそういうことです。