ケン・ローチ、この人は筋が一本通った映画の作り方をしています。
低賃金労働者、移民、ブルーカラーなどのいわゆる貧困層、社会的弱者の立場から映画を撮り続けている。
それは、最初からずっと徹底していてブレがない。
この監督には本当に頭が下がります。
決して作り物やお涙ちょうだいの世界ではなく現実を直視し、リアルな目線で描かれた世界は力強く説得力があります。
有名になった現在もリアルティを出すために名のある俳優は決して起用せず一貫して無名俳優(時には本物の労働者や移民)を使うあたりも徹底している。
そして何よりすごいのがリアリティを追求した映画がおちいりがちな生真面目なゆえのたいくつさがみじんもない事。
「ちゃんと映画として面白いんです!」
映画として面白い。それがケン・ローチが実力派の映画監督として一目おかれる所以でしょう。
それもリアルなゆえの面白さ。決して人ごとじゃないって気になってくるんですね。
テレビのドキュメンタリーとか見ていてその先が気になって(好奇心と心配から)最後まで引きずるように見てしまうのにも少し似ている。
特にこの映画の主人公アンジーの立場は結構日本の現在の若者の多くにも通じるところがあってかなり共感を持ってみれるんじゃないかと思います。
派遣を繰り返し、一向に貯金もたまらず年ばかりとり、将来に不安を感じる主人公のアンジーがある日、このまま搾取されるばかりで人生終わらせたくないと自分も搾取する側の立場になりたいとある時移民相手の労働派遣事務所の設立を思い立つ。
同じように大学卒業の高学歴を持ちながらあいかわらずコールセンターの派遣の仕事をしている友人のローズをさそい早速事業に着手するも普通の女の子であった彼女達の無謀とも思える挑戦と生身の人間を相手にする仕事に対しての甘さ、自分カワイさに欲にくらんでいく様子などにハラハラ、ドキドキ。
物語の行方が気になって最後まで一気に見てしまいます。
そしてたどり着いた先は見まごう事なき現実世界・・・・。
蟹工船を読むのならこちらの方が現代の社会で生活している者としては絶対的なリアリティで迫ってくる物としておすすめです。