学生時代に手放した本と、異国の古本屋でめぐりあう……。--「旅する本」
子どもの頃のぼくにとって、ここは世界への扉だった。--「ミツザワ書店」
おばあちゃんが欲しい本を探し、私は今日も本屋をめぐる。--「さがしもの」
人に本を贈るのはむずかしい。とくに、好きな人には。--「初バレンタイン」
著者が自身の本とのつきあいを振り返る書下ろしあとがきエッセイ--「交際履歴」
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9つの短編の中で私が好きなのは「ミツザワ書店」と「さがしもの」
です。
「ミツザワ書店」では本屋のおばあさんの「だってあんた、開くだけ
でどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう」とい
う言葉にウンウンと頷きました。
子供の頃は特に本を開けば私は魔法使いになり、空を飛び、冒険をし
ていましたし、今では謎を解いたり、時には胸を打たれて泣いたりと
本を開けばそこには新しい世界が待っています。
そして「さがしもの」では本の物語でありながらそれ以上に生きる姿
勢に頷かされました。
つらいとき、主人公の頭に思い浮かぶのは亡き祖母の「できごとより
も考えのほうがこわい。」という言葉。確かに人は悪い方へ悪い方へ
と物事を考えていき、それから前に進めなくなることの方が多いので
すよね。そして過ぎ去ってしまえば全て記憶の沈殿でしかない・・。
本の前で「あぁ確かにそうだよなぁ」と深く思った言葉です。
本の物語でもあり、恋愛の物語でもあり、人生の物語でもある。
角田氏の開く扉はとてつもなく広く大きく、そして今回も私を色々な
世界につれていってくれました。本好きの方には必読の一冊です。
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