ルチル文庫さんには時々「これは面白い!」と純粋に心から楽しめる作品が登場するのですが、
こちらの一冊がまさにそれでした。
元々九號さんのカラーとモノクロ絵が、同ノベルの「言葉もなく、花は」の頃から大好きで、
この本を迷わず手に取ったのもそのインパクト強いカラー表紙の影響が大きかった。
極道関係のBLはあまた溢れる程ですが、この本の主人公で受けの鋭は、解散した歴史有る組の
跡継ぎだったはずが、「やはり自分は他人の命を奪える人間ではない」と
板前になって真面目に商売をしている、真摯な青年。
とにかく主役の受けがここまで魅力的な作品は少ないです!!元組員が娘を嫁に出す父親のように
彼を保護しているのがよく理解出来ます。
鋭は常に正道を歩く江戸っ子肌の強い青年で、実家が極道という出自である故に言動は乱暴ですが、
いつも冷静に物事を判断し、女性に優しく下に慕われ、間違いには真っ向からぶつかる。
それでもやはり、時々「本当に自身が正しいのか」と揺れる表情を一瞬見せる…そんなギャップが
ひどく彼を魅力的に立たせています。
一方、幼馴染み同然に育ち、子供の頃は鋭と対照的に病弱だった、違う組の今や若頭となった颯洵。
外見も生き方も性格も全く正反対。反目しているはずなのに、幼い頃から立場が同じ者同士として
不思議な同類意識で結ばれて来た微妙な関係の二人が惹かれ合うのが、とても自然に
流麗に描かれています。
どこか破滅的で、鋭とは全く異なった恐怖で他人を支配する颯洵は、鋭でなければ心を動かせない男。
絶対に自身の正義を貫く鋭にだからこそ、颯洵は全てを彼に許し、また求めるのでしょう。
鋭の異母弟で重度のブラコン故に敵対してしまう亮や、鋭に思いを寄せるホステスのユカリさん。
そして何より「若」である鋭の親衛隊として活き活きと存在感を発する元組員。
ホストのアルバイトをすることになった鋭と颯洵のやり取りは、読んでいて思わず笑ってしまい、
とにかく萠満載!!
「面白い!楽しい!」と堪能出来る一冊です!!これはお勧め!