「世田谷一家殺人事件」の被害者の姉の手記、と聞けばなにか怖い気がして、本を手にすることをためらってしまうかも知れない。でも、そんな不安とは無縁のやさしさの満ち溢れた本だった。深い悲しみの淵から少しずつ立ち直ろう、前を見つめようとする筆者の正直すぎるほどの、きまじめな姿が胸を打つ。
先日終わった「風のガーデン」のドラマに家族の姿が重なってくる。自閉的な発達障害を抱えた男の子と、けなげに支える小学生の姉、悩みながらも毎日絵本を読み聞かせる母親、そんな家族を静かにゆったり見守る父親。父親だけはドラマとすこし違っているけれど、あの「風のガーデン」の美しさと悲しさとやさしさは、そのままだった。
ほんとに、懸命に、精一杯生き抜いた、稀有な家族だったのだ。
、