平成20年3月末現在、親が育てられない子どもは36,836人いて、そのうち9.9%が里親家庭で生活しているが、残りの90.1%の子どもは、乳児院・児童養護施設で生活をしている。里親がいないわけではなく、登録里親の4分の3が未委託里親である。この施設優先の日本の施策は、子どもの権利条約第20条の「子どもの家庭で育つ権利」に違反するとして、国連子どもの権利委員会からも勧告を受けている。
なぜ、日本で里親委託が進まないのか。筆者は、それを「大人の既得権益」のためであるという。0歳から18歳まで乳児院・児童養護施設で育つと、子ども一人に1億円もの経費が施設に支払われる。施設にとって、子どもは経営資源であるということ。
そして、里親委託の経験のない児童相談所の児童福祉司。政治家や地域との関係が深い施設ともめたくない行政。児童相談所の所長が定年退職後、施設長として天下る実例。児童相談所、施設が一体となって、子どもたちを施設に囲い込む構造があり続ける。
養護施設は、創業者一族の家業となり、子どもの私物化から施設内虐待も多発している。その摘発に及び腰な行政も少なくない。
日本社会が「最も社会的に弱い構成員」をどのように扱っているのか知りたければ、乳児院・児童養護施設の子どもたちへの扱いを見ればいい。この国は、たったの3万人の子どもたちに家庭を与えることも出来ない国なのだ。施設の既得権益のために。