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この国のかたち〈3〉 (文春文庫)
 
 

この国のかたち〈3〉 (文春文庫) [文庫]

司馬 遼太郎
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

あらゆる意味で曲り角にきた日本。この国の本質は一体何なのか。無類の歴史通がさまざまな事例をあげて説いた示唆に富んだ日本人論

内容(「BOOK」データベースより)

革命をおこした国は倨傲になる。特に革命で得た物差しを他国に輪出したがるという点で、古今に例が多い。明治の日本人には朝野ともにその意識がつよく、他のアジア人にとって不愉快きわまりないものであったろう。―この国の歴史のなかから、日本人の特性を探り出し、考察することによって普遍的なものとはなにかを考える。

登録情報

  • 文庫: 260ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (1995/05)
  • ISBN-10: 4167105624
  • ISBN-13: 978-4167105624
  • 発売日: 1995/05
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
ますは“脱亜論”の稿について。
「革命をおこした国は倨傲になる。……明治の日本人には朝野ともにその意識がつよく、他のアジア人にとって不愉快きわまりないものであったろう。「脱亜論」はその気分の代表的なもので、その意味にかぎっての史的価値は十分にある。
ついでながら、いま湾岸でおこっていることも、公的な物差し(スタンダード)というものと、土着のナショナリズムとの相克の問題である。しかしアメリカ以外にアラブに”脱亜論”を勧めるような”勇気”は、いまの地球上にさほど多くはない。結果が、自国にとって手ひどいことになることを知っているからである」
原稿に同封した白川勝編集長への手紙に、本稿執筆中に明治維新の専門家である元駐日英国大使ヒュー・コータッツィに会い「日本だけが無傷でいようとしている」と言われたと司馬翁は書いている。司馬翁のPKOに対する本音は、これ如何。

***

“巴里の廃約”は、第二巻“汚職”の一年後、90年の金丸訪朝団に際しての稿である。
司馬翁は原稿に同封した白石勝編集長への手紙で「金丸宣言も、おそらくピョンヤンの廃約ということになりましょう」と書いている。その後、日朝交渉の曲折に影響したことは述べるまでもない。
(以上、関川夏央『司馬遼太郎の「かたち」―「この国のかたち」の十年』を参考にした)

“室町の世”というタイトルの稿は、第五巻まで三つある。多少の重複はあるが、第四巻第五巻は第三巻の続編と考えられる。実力が地方にあり、日本の”くに”(Land)即ち芸術・文化・作法・貨幣経済を生んだ室町時代に対する、司馬翁の思い入れだろうと評者は理解している。

【収録タイトル】
戦国の心/ドイツへの傾斜/社(しゃ)/室町の世/七福神/船/秀吉/岬と山/華/家康以前/洋服/「巴里の廃約」/「脱亜論」/文明の配電盤/平城京/平安遷都/東京遷都/鎌倉/大坂/宋学/小説の言語/甲冑(上)(下)/聖(ひじり)たち/あとがき
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By 大森 義範 トップ500レビュアー
形式:文庫
日本の歴史に関するエッセイ集。
教科書的な羅列では無く、時代背景・現代との関連性などを
有機的なつながりを持たせており、歴史に立体感を感じて、
大変面白く読むことができる。

こんなエッセイを載せた日本史資料集
があれば大変面白いのにと思う。

司馬史観と批判されることもある著者の作品だが、
一つのものの見方として、頭に入れて損は無いと思われる内容である。
この巻では批判めいたコラムは少なかったように思えるが、
晩年の秀吉をパラノイアとしている。

文明の配電盤というコラムが面白かった。
「この巨大な配電盤は、神田の私学に漏電するように新文明をこぼした」
文明開化時代の知識人の心意気がわかる。

余裕があれば関連の原著を直接自分で調べて、
自分の考え方を見つければ良いと思う。
ひとつのコラムが400字詰めの原稿10枚分しかないから
読者に過当な負担をかけているに違いないとあとがきにて結んでいる。
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By 内田裕介 トップ500レビュアー
形式:文庫
第3巻は1990年から91年に書かれたもの。司馬67歳から68歳ごろである。

4巻以降は「司馬史観」の総まとめともいうべき迫力に満ちた論文が多く出てくるが、

ここまではわりと穏やかに、折々に思いついたテーマを散文的に綴っている。

その興味はひろく、知識は該博をきわめていて、どの稿を読んでも面白いが、

あえて言えば朝鮮や中国との関係についての稿がいくつか目に留まった。

司馬には欧米諸国と日本の文化比較についてほとんど言及がない。

かわりに中国や朝鮮との比較については、数多くの考察がある。

それは長い歴史のなかで、日本はこの両国から、

常に巨大な文明の影響を受けて続けてきたからである。

仏教、鉄、稲作、陶器、文字。

明治維新の思想的原動力=尊王攘夷も無論、彼らからの輸入品だ。

逆に日本が中国、朝鮮に与えたものはなんだったか。

倭寇であり、秀吉の朝鮮出兵であり、日韓併合である。

儒教文明を築いた中国、その忠実なる属邦であった朝鮮。

彼らからみた日本という国は、何千年もの間、礼を知らぬ未開の野蛮な国であった。

このあたりの認識は、司馬史観というよりも一般的な歴史認識に属するが、

今日の両国への言及において、司馬を読むときの大前提である。

こんな一文がある。

 「晩年の秀吉の"病気"による禍害は、当時だけでなく、

  こんにちまで隣邦のうらみとして続いているのである。

  やりきれない思いがする。」p79

秀吉は晩年、パラノイアであったのではないか、と司馬は想像している。

ひとりの老人が、彼の国の人たちの日本嫌いの元凶であるとすれば、

たしかにやりきれない、というほかに言葉はない。
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