現在、日本の刑務所では、犯罪者の「教育」が日夜行われている。しかし、犯罪者の「教育」をしても、高い効果が期待できるとはいえないし、また、被害者は救われない。犯罪者「福祉」社会を見直すべきである。
本書はまず、アメリカにおける「犯罪者更生モデル」から「犯罪者隔離モデル」への変遷を記し、その後、日本での「更生モデル」の批判…へと話を展開させる。
著者の言うことの多くの点について賛成と思うところは多い。例えば、被害者救済のためには、加害者の人権に制限を加えるのも仕方が無いと言う点。刑務所労働の効率化を行い、その賃金を被害者への賠償へ回すべきと言う点。また、いじめについて厳正な対処を行うべきだと言う点など。
ただ、全体的に検証が弱いと感じる。
例えば犯罪者の人権を制限すべきだ、と言う部分ではミーガン法を適用し、より強固な監視社会へ進むべき、と言う。著者自身、「彼らはまともな職にはつけなくなる」と言うが、そうなると彼らは食べるために犯罪に走る可能性はないだろうか?
また「賠償モデル」の切り札を民営刑務所と言うのだが、著者自身、アメリカの民営刑務所で様々な問題が噴出していることを述べている。だが、その克服について提言しないまま日本へ持ち込むことを提案している。しかも、民営刑務所は経営が成り立たなければ成らない。その点について著者は「安い労働力を国内で供給できるから大丈夫」としか述べない。だが、浜井浩一氏の著書などによると、現在の日本の刑務所では「高齢者」「外国人」「暴力団関係者」ばかりが増えてしまい、「健康な若い受刑者」の不足が問題となっているという。もう少し細かい検証が必要だろう。
本書は、全体的に、いくつかの事件の事例を出して「こんな問題がある」と言うことを示して話を進める。それ自体は説得力があるのだが、詳細なデータなどが少ないため、どうも全体的に実効性が低く感じられてしまう。