エルリック・サーガ新版の第二巻。今作はさらに世界が広がります。
「この世の彼方の海」1976(第三部は73年初出)
「<夢見る都>」1961
「神々の笑うとき」1961
「歌う城砦」1967
今回の新版で初めてエルリックに触れているのですが、本当に読んでよかったと思います。今回もすばらしい! 「この世の彼方の海」では、ムアコックの世界観の要である、ウワサの「永遠の戦士」達が登場し、エルリックとともに次元を超えた戦いを繰り広げます。幻想的、叙事詩的でありながら、やはりSF作家としてのムアコックの本領発揮といえるSF的世界観が読者のイメージの限界に挑戦してくるかのよう。異次元生物との最終決戦の描写は、もはや観念を超えて哲学的ですらあります。
残りの三篇はやはり初期の作品ということで、計算された構造はありませんが、まだあら削りな世界の若さと、前巻の「真珠の砦」など後期の作品と並べて読むことで、世界観が成熟してゆく様子がよくわかり、とても興味深く読むことができます。「歌う城砦」などは、SF的でありながらファンタジイの基本を押さえていて、さらにシェイクスピア的な世界観を根底に持つなかなか深い作品だと思います。
一度読んで終わりではなく、これからの人生で、何度も読むことになりそうな作品です。この本と出合えて本当に良かった。出版社と訳者に感謝です。