この映画では、日本人のジャズマンも進駐軍も生身の人間として描かれています。特にアメリカ兵の描写がしっかりしています。
日本人はすっかり戦後の気分でいるけれども、日本に進駐しているアメリカ兵は、いつ次の戦争に駆り出されるのかわからない不安を抱えて生きている。中には、弟を日本兵に殺されてどうしても日本人を許せないでいるアメリカ兵もいる。
物語はジャズで生きていこうと必死にもがく5人の日本人ジャズマンと、日本人を許せないでいる、ジャズに精通したある一人のアメリカ兵の関係を軸に展開していきます。
拙い、うわべだけのジャズ演奏が徐々に、本物のジャズへと変わっていく中で最初は対立していたアメリカ兵とジャズマンたちの関係も変わっていきます。
どうしても拭いきれなかった日本人への憎しみは、ジャズマンたちのジャズを愛する気持ちによって徐々に薄まっていく。
今まで、日本の戦後というと、貧しさと闘いながらも自由を謳歌しているイメージがあり、進駐軍に対する描写も一律的に悪人として描かれていた感じがしました。
でも、この映画では、日本側の視点でもって、アメリカ兵の戦争に行くことに対する葛藤を見事に描き出していて、アメリカ兵に対する見方がだいぶ変わりました。
戦後間もない日本を舞台にしていますが、描かれている内容は今の世の中の状況に対する批判を持って描かれていて、昔の戦争にも関わらず、朝鮮戦争へ駆り出されていくアメリカ兵の苦悩がリアルに伝わってきました。