スペインの女流ファンタジー作家、ラウラ・ガジェゴ・ガルシアによる邦訳第2弾の作品です(といっても本編の方が、出版された本としては先、かつ処女作だそうですが)。邦訳第1弾の『漂白の王の伝説』に劣らず、主題の設定、テンポのよい展開、クライマックスへと一気に読むことができました(同じ訳者による翻訳ですが、簡潔・明瞭な訳文が、ストーリーの展開をさらに面白くしているのでしょう)。
時代設定は終末論の漂う紀元999年。今回は(も)時間(軸)がテーマ。活字文化を象徴する修道士ミシェル(写本が職務)と口承文化を象徴する吟遊詩人マティウス、属性としてはさらにマージナルな存在の吟遊詩人志望の女性ルシア(彼女は途中から登場)の3人が、世界を救うために、謎の<時間軸>を探しながら、アーヘン、サンティアゴ・デ・コンポステラ、ストーン・ヘンジ(おまけにモン・サン・ミシェル)(いずれも現在のユネスコ世界遺産ですね)をめぐってハラハラ、ドキドキの冒険を繰り広げます。
本書の冒頭に西ヨーロッパと当時の状況を示す概略図があり、また物語の構成も大きく三つの書からなっているので、大変イメージしやすく、世界史や地理の前知識のない子どもたちにも充分楽しめると思います(個人的には、つい癖で、世界史年表、人名辞典、地図などでひとつひとつ調べてしまいました。読後も中世のイメージが頭から離れません)。