圧倒的な画力という宣伝文句に興味を持ち購入。読み始めて早々に理解した。これはSFだなと。萩尾望都の昔懐かしいSF漫画を彷彿させるようなイマジネーション豊かな描写に新しく取り入れた幾何学模様がミックスされて、レトロなのに新しい不思議感覚を抱かせる。少女マンガではストーリーやキャラクターの表情重視の傾向が強いから、平面な絵柄が続く事が多いが、この漫画の作者は空間認識力が優れているのか、非常に絵が立体的である。奥行きを感じる。背景の雑踏にも物語があり、いろいろな角度で主人公達を眺められるのが、映画を観ているようで楽しい。設定に関しても、”共感覚者”という音に対して聴覚以外の感覚を持つ人間を登場させている所が新しい。(例えば、他人の喋り声がモンシロチョウやタンポポのイメージ映像で見えたりする)この物語は、この共感覚者の女性と、彼女の能力を普通に受け入れられる3人の仲間達を中心に、京都の大学の女子寮を舞台にした青春ものである。ほんわかした優しい絵柄に個性的なキャラクターが、当たり前の日常に起きるちょっとした出来事に、敏感に反応する所に面白さがある。この辺の繊細さは、従来の少女マンガの良さを踏襲している。京都の観光名所もさりげなく案内してくれて、巻末おまけに漫画地図まで付けてくれているのが心憎い。次巻が間もなく発売だが、少女マンガらしい女子大生の恋愛話も盛り込んで欲しいと思っている。(もう描き終っていると思うが)