前作「家族の言い訳」に比べると、後味がスッキリとして、気持ちが良かった。総てがハッピーエンドでは、問題が解決したわけではないが、それぞれの主人公のモヤモヤが晴れるように、なぜか清々しい気分になれました。
8編の短編のどれをとっても、家族との関係がテーマです。それぞれの主人公が難題を抱え、切羽詰っている者も中にはいますが、読んでいて暗くならない、重圧感を受けないところが、前作よりも改善されています。
しばらく時間を置いて、もう一度じっくりと読み直してみたい作品集です。インパクトはありませんが、噛めば噛むほど味が出るような気がします。構成がしっかりしていて、文章も素直な読みやすい本です。
8編の短編総てが、主人公と家族との蟠(わだかま)りや行き違いを解きほぐすというワンパターンです。ですが、私達の日常の人間関係の軋轢も実際はこうした、ほんの些細なズレ、考え方や受け止め方の違いによって生じていることに気付かされます。主人公と年齢の近い40代以上の方には、心に何かを残してくれる作品集ではないでしょうか。そして、このワン・フレーズが堪らない、忘れられないと思うのはないでしょうか。しかし逆に若い人ほど、詰まらない印象を受けてしまうかも知れませんが。
最後に、私が印象に残ったのも(最初のレビューの方と同じ)「人の手」でした。そして、ラストの切なさが心に残りました。