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偉大なる巨人「夏目漱石」の晩年の作品がこんなに読みやすく、ある意味明快にテーマを提示していることに、まず驚いた。夏目漱石については受験勉強の一環として江藤淳の「夏目漱石」を読んだぐらいで、社会人になってからは暫く読むことも無かったが、手元に本の無い単身赴任生活でたまたま昨年、才気走った「草枕」を読んで改めて感心していたことも、息子と一緒に読んで一緒に考えてみようと思った契機になったと思う。
「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」と 上中下の三部に別れている中で私がこころ詰まらせたのは「両親と私」であった。初読の頃には「私」のように両親は学識も無く、つまらない存在であり、原罪を背負った先生の方が上等の人間と思っていたが、人の親になり、世間の波に擦り切れるまで揉まれると、「両親と私」の部の切なさが胸に痛いくらいである。「私」とKの関係、先生とお嬢さんの関係にばかり目が行っていた当時とは全く違った部分が光って見えた。
息子にとって、親に向かって親を語るというのは困難なようで、私の送った読書メモのメールは息子には重かったようで碌な返事が返ってこなかったが、それこそ「両親と私」の関係が示しているもので予想していたとおりで、ある意味安心した。
ということで、こんな読み方も出来るという、「こころ」が、超名作であることは間違いなし。高校生くらいになればそれなりに身につまされて読めるでしょう(かといって読後感が暗いわけではありません)。万人にお勧めの一冊。
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