佐藤初女さんは青森県に生まれ、岩木山の麓で、「森のイスキア」という場所をひらいている。
「イスキア」は、心が疲れた人がいつでも訪れて、初女さんが心と手間を込めたお食事をいただくことのできる、夢のような場所。
キリスト教徒でもある初女さんの言葉は、その食卓と同じように、心をこめてひとつずつていねいにつづられていて、読みすすめるごとに心が透明になるような浄化力がある。
巻末におさめられた河合隼雄先生との対談も、大事なことが次から次へと惜しげもなく語られていて、しみじみといい。
実は何年も前から、この本はわが家の書棚にあって、けれど長いあいだ手にとらずにいた。
読み終えた今は、「もっと早く読んでおけば!」と思うけれど、わたしにとっては、今が初女さんの言葉に出会うタイミングだったのかもしれない。
この本を読んでから、おにぎりを作るひとときが魔法の時間になった。
心をこめて料理をすることの楽しさ、大切さを忘れそうになっていると気づいたら、何度でも手にして読み返したい一冊。