日本コカコーラ元社長である魚谷さんの半世紀であり、信じるところを綴った本。ライオンの大阪支店の営業という「普通」のキャリアを歩み始めた彼が、若くして「普通ではない」キャリアを築いた軌跡が、読みやすく書かれている。
この本から推察するに、著者は常に本気で「正しい」と思うことを貫き通す、考え抜いて工夫をして必ず短期間(2〜3年)で業績を上げる、「サプライズ」や「涙」の演出等で周りを「感情的」に巻き込む、ある意味「理想的な上司」なんだろうと思う。
また、本書には「ジョージア」の「男のやすらぎ」や「明日があるさ」キャンペーン、「爽健美茶」、「からだ巡り茶」、「Qoo」、「コカコーラ」の「No Reason」キャンペーン等の誕生裏話が満載なので、マーケティングに携わる人はもちろん、普通の人でも面白く読めると思う。
少し驚いたのは、彼のキャリアが日本をベースにしているにも関わらず、考え方や仕事の仕方が「外資系的」であり、自分とも共通すること。
「効果的なコミュニケーションとは、テクニックではなく、自分自身が情熱を持って人生を積極的に生きること。それを他人に影響させること」
「プロダクトマネージャー(マーケティングの担当者)という仕事は、机に向かってするものではない。朝から晩まで全ての時間が仕事の時間だ」
等々。というわけで、マーケティングの「姿勢」を語る本として、特に若いマーケッターの方、それに若くして「成り上がりたい」方には、お勧めできる良書。
但し、2時間で読める「講演」的な内容であること、それに何より、ここまで出世した魚谷さんがコカコーラのアメリカ本社に「Sell Japan」をしに行くのではなく、日本でコンサルになるという道を選んだことが残念過ぎるので、星は3つのみ。