本書は、英文原書(Three Cups of Tea: ペンギンブックス、2006年)の
「中学生向け」に書かれた邦訳である。私はその美しい表紙(原書よりずっと
素晴らしい!)に、まず心をひかれた。
1993年に米国の登山家グレッグ・モーテンソンはカラコルム山脈にある最高
峰「K2」の登頂に失敗し、下山の途中、道を間違えて、パキスタンの貧しい山
村に迷い込んだ。住民たちの厚意に感動して、グレッグは村に再び戻ってきて、
学校を建てることを村人に約束した。本書は、その約束がもたらした意外な結果
を物語る。以来10年以上の間に、グレッグは55もの学校、それも女の子たち
のための学校を、(女性の教育を禁止していた)タリバンの本拠地である山奥
(パキスタンーアフガニスタン国境の散村)に建てることに成功する。この実話
はたちまち、不動の冒険心と善意の威力を象徴するベストセラーになった。
1953年にニュージーランドの登山家/養蜂家エドモント・ヒラリー(1919
ー2008)がネパール出身のシェルパ「テンジン」と共に、世界最高峰
「エベレスト」の登頂に初めて成功した後、地元ネパールの貧しい山村に、数十年も
かけて、多くの学校や病院/診療所を建てることに献身した(成功が、予期せぬ
成功をもたらした)。本書は「失敗も成功をもたらす」一例を、我々に力強く教え
ようとしている。