大変面白い、今までにない絵本です。深く訴えてくるものがあって、とても感銘を
受けました。ほとんどの絵本は、内容がほのぼのしていて目線を子どもに合わせて
描かれたものばかりで、「ここが家だ」のように、ぞくっとするような絵本には、
出会ったことがありませんでした。
第五福竜丸の出来事を、二人のアメリカ人で絵と詩を作成しているというのが、
とてもいいです。ベンシャーンの絵は大好きです。でも不思議なくらい、絵本としての
仕上がりが日本的なのに驚きました。線のタッチや、モノクロの絵が多いせいかも
しれませんが、地と図の関係、文字の良と配置がとても繊細で日本的だから
なのでしょうか・・・和田さんのお力が加わってよりよいものになっているのでしょう。
企画された方もすごいと思います。編集者の方の企画全体に対する情熱を感じました。
このような、忘れてはならない過去の大事な出来事を、こんなすばらしい形で後世に
残されることは、素晴らしいことだと思います。幼少のころから、絵本を通して生々しい
人間の感情や、もっと大きく社会や世界のことを考えることはとても大事なことだと
思います。
読み終わった後、いろいろなことを考えさせられ、この絵本が出版されたことを
嬉しく思います。シンプルな絵とシンプルな文章だからこそ、二週間で恐ろしく変化
してしまった人々や、救助の電報を打てない辛さや、亡くなる前に我が子を抱きしめる
心境など、ページをめくるごとにそこの人の感情が伝わってきました。最近は考えられない
ような事件が多いので、こういった視点の絵本こそ、大事になってくるような気がします。