まさに70の声を聞こうかという頃、著者の伊藤センセイ、何を思ったか、急に自転車に目覚めてしまいました。爾来、何台もの自転車を衝動買いした上、それらの愛車を駆って都内の川をいくつか下ってみたり、碓氷峠越えを目論んで挫折してみたり、挙句の果てには、同年代のジイサン4人で何と道東一周の大ツーリングを敢行したりしてしまいます。いやはや恐れ入りました。
本書では、そんな著者が、自転車のあれこれについておりふしに感じたことや、ツーリングの状況などを縦横無尽に語り尽くしています。その文章たるや軽妙にして洒脱、毒やブラックも程好く混ざり合い、実に味のある語り口で、あたかもドクトル・マンボウの自転車バージョンを髣髴させる趣と言えましょうか。
ところで、この本があまり面白いので、小生もついついスポーツ自転車を購入してしまいました。安くない買い物で、しかも実は2ヶ月ほど前に電動ママチャリを買ったばかり。家庭内でどれほどの物議を醸すことかと心配しましたが、妻にも本書を読ませておいたおかげか、それほどの波乱は生じませんでした。ありがたいことです。
いずれにせよ、古希を過ぎた大先輩たちがこうして元気にツーリングだのに興じておられるわけですから、小生の如き40男としても須く一念を発起しなければなりません。そんなササヤカな前向きの決意と、そしてたくさんの笑いを与えてくれた一冊です。自転車に興味がある方にはモチロン、そうでない方たちにも、是非おススメしたいと思います。