もしこんな学校があるのならば、自分では絶対に通いたくないし、もし子供がいたとしても通わせたくない。すごいマンモス校みたいだしね。
それはさておき。彼氏にふられた三浦加奈が向かった学校の屋上には、3人の少年少女がいた。死のうとする彼女をただ引き止めるのではなく、死ぬ前に復讐したらどうかと提案してくる。しきりにスカートを引っ張って引きとめて来る小さな女の子、カカシに勢いをそがれてしまった彼女は、ひとまず家に帰ることにした。
それから何となく通うようになった学校の屋上には、いつも彼らがいた。いつも寝てばかりいる少年、ライオン。神経質そうに針仕事をしているか本を読んでいる少年、ブリキ。そしていつも楽しそうに飛び跳ねている少女、カカシ。だけれどそんな彼らも、一度は死のうとして、その前に復讐を決意した人たちなのだ。
ここからドロドロ陰惨な復讐劇が始まるのかというと、そういうわけでもない。新しい仲間が出来て何となく気持ちが上向いて来た加奈は、ライオン、カカシ、ブリキという順番で、それぞれの事情に首を突っ込んでいく。そして彼らにかけているというもの、勇気、脳みそ、心を手に入れていくのだ。
じゃあ、ハートフルな青春物語かというと、そういうわけでもない。彼らが抱える悩みはかなりハードで、その背景にあるのは陰惨な物語だ。ゆえに彼らの復讐劇は相当に過激で、普通だったら警察沙汰になるレベルのものになっている。
冷静になって考えれば、彼らの問題にはもっとまっとうな解決方法だっていくらでもある。でも彼らが失ったと思っているものは、彼らにとって、それだけの方法で復讐してもまだ足りないくらい、とても大事なものだったということだ。
タイトルの理由が分かるのはずっと後の方になってからのこと。でも、その背景にある気持ちと同じものは、冒頭の加奈の回想の中にも見られる。大切なものを失って、その匂いのついているものを捨てていこうと思ったら、一番それが染み付いているのは自分だと気づくのだ。
そんな状態からどうやって、彼らが明日に向かって一歩を踏み出していくのか。これはそういう物語だと思う。